ブロック塀は地震に弱いのか?
結論から言いますと、答えはノーです。
現在住まわれている住宅のブロック塀は大丈夫だろうか?
又は、これから新築の外構をご検討中の方もブロック塀をどうしようか?
悩まれている人多いと思います。
その様な方にこの記事では、ブロック屋一筋30年以上の経験を持つ私が少しでもお役に立てる情報をお届けしたいと思います。
この記事を読んで頂く事により、ブロック塀の理解度が増すと思います。これから外構でブロック塀をご検討中の方、外構リホームご検討中の方最後までお付き合い下さい。
大谷石
地震災害が起きる度に必ずと言っていいほどテレビのニュースに流れてくるのが、ブロック塀の倒壊現場ですよね。
皆さんお気づきになられてる方は、多分ですが居ないと思います、9割以上が一般住宅のブロック塀なんです。その中でも多く見かけられるのが、大谷石の倒壊現場がニュースで多く見受けられます。
大谷石は以前は大変多くブロックの代わりに使われてました。特に大きな農家のお宅などに使われてましたね。
なぜ、大谷石の倒壊が多いのかと言いますと、鉄筋が入って無いからなんです。(年代にもよる)
大谷石もブロック屋さんが施工しているのですが、材質が大きく異なる事と施工が若干違います。
ニュースでは、大谷石もブロックも同じ扱いで報道されてます。
もう一点は、経年劣化により腐食が進行して強度不足になっているからなんです。
プチ情報
大谷石は外観からすると、かなりの重量物の様に見えますが、実はそうでも無いのです。
大谷石は、軽石擬灰岩の一種とされてます。実は見た目程重くは無いのです。しかも割と柔らかく加工も容易に出来ます。
加工も簡単で重量的にも適している、しかも軽石擬灰岩なので、湿気対策にも優れている為
蔵の壁等にも良く使われていました。
栃木県宇都宮市大谷町には、採掘場が有ります。
こちらは、2万平方メートルにも及ぶ巨大空間が有り、深さは30メートル以上、深い所では60メートルにも及ぶそうです。
日本遺産にも認定されてますので、ご機会が有りましたら寄ってみるのも良いかと思います。
私は、映画のインディジョーンズが出て来るのでは?などと、思いました(笑)
ゼネコン施工のブロックが倒壊しずらい理由
大手ゼネコンが施工したマンションやビルのブロック塀の倒壊現場って、あまり見た事が無い筈です。
何故なんでしょう? 仕上がった塀を見る限りでは、特別に強度を増したブロックを使ってる訳でもなさそうですよね。
答えは、大きな所で2つ有ります。
1・ベース(基礎)が、違います。
倒壊したブロック塀の基礎は、貧弱な物が多いのです。
具体的には、ベースの深さと幅の不足、配筋(鉄筋)の不足等が考えられます。
その他にも、転圧不足、砕石の厚み(量)、コンクリートの強度不足等も考えられます。
2・ブロックの鉄筋不足も良く見かけます。
ゼネコンで施工したブロック塀が倒壊しないのは、しっかりしたベース(基礎)の上にきちんとした
ブロック施工をしているからなんです。
ゼネコンの下請け業者さんは、その仕事の専門業者さん達です。その道のプロ達なんです。鉄筋は鉄筋屋さん。タイルはタイル屋さん。ブロックはブロック屋さんと言った様にです。
その道で特化した技術を持った方達が施工しているからです。
一般住宅等で施工している外構屋さんは・・もちろん優れた技術と知識を持った職人さんも大勢います‼ ですが。。。一人の職人さんで基礎・配筋・ブロック・左官・タイルと全部施工しているのが現状だと思います。悪い事では無いのです、むしろ私は、凄いな~と感心してます。問題なのは、きちんとした知識が有るか?なんですね。技術力は有るので仕事を依頼されてるのは確かだと思いますが・・
先日、某建売住宅の外構工事を拝見してましたら、掘削した後に砕石は敷かない当然、転圧もし無い、ベース流し筋も入れない、配筋も無い、基礎コンクリートは手練りでセメントが効いて無い、縦筋は800ピッチ(本来は400ピッチ)まあ、縦筋に関しては2段積なので土圧もかからず良しかな??いや、ダメですよね。L筋で配筋して無いのですから。これでは、倒れて当たり前ですよね。
コンクリートに鉄筋を入れる意味を解っているの?と聞きたくなります。
コンクリートに鉄筋を入れる理由
せっかくなので、答えを
コンクリートは圧縮強度には強いですが、引張強度には弱い性質です。対して鉄筋は圧縮強度には弱いが引張強度は強い性質です。双方の弱点を補う為にコンクリートには鉄筋を入れているのです。
既存ブロックの注意点
高さが6段以上積み上げている物は危険性が有ります。バットレスの無い物は要注意です
特に軽量ブロックですと、経年劣化が著しいかと思います。
縦筋は、800ピッチ、横筋は、600ピッチにて施工しているかと思います。
現在、ブロック塀で不安を抱いている方で気をつけて頂きのが、施工から30年近く経ったブロック塀です。
また、その年代ですと、鉄筋も9㎜の丸棒(現在は100㎜の異形鉄筋)を使用してます。
当時の基準に沿って施工していたとしても、現在と比較すると鉄筋の質も量も違うからです。
対処方法
バットレス(控柱)を設置する事により、強度を増す事が出来ます。
学校のプールを囲うブロック塀が倒壊して、小学生が犠牲となる痛ましい事故がおきましたよね
その事故の後、国や地方自治体がブロック塀に関してバットレス(控壁)の設置を強く指導する様になりました。
実際に東京都では、役所より是正勧告を受け控壁の設置やブロック塀の高さを低くするといった仕事依頼が数件有りました。
ただし、ブロック塀の経年劣化が著しい物は、早期に積み替えたる事をお勧め致します。
特に段数を高く積み上げている物は、危険です。
新規にブロック塀をご検討されている方は、段数を低くする事をお勧め致します。
とは言えプライバシーの問題も有りますので、フェンス等で対策を取ると良いと思います。
まとめ
1・ブロック施工では、基礎が大事
2・しっかりとした技術、知識を持つ事の大切さ
3・その場所(地形や土質等)外構計画に適した物を使う
上記の3点を守りきちんとした施工をすればブロックは、地震に対してもそれ程、神経質になる必要は有りません。
お付き合い頂きまして、ありがとうございました。
また、お会いしましょう。
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